小島信夫とは誰か
再帰するテクストあるいは憑在論の方へ
疋田雅昭(著)
判型:A5判上製
頁数:629頁
定価:8000円+税
ISBN:978-4-8010-1001-7 C0095
装幀:齋藤久美子
全長篇と初期主要短篇を読み解く
風刺を交えた笑いや戦争体験を描いた初期から、『抱擁家族』に代表される家族小説の時期を経て、『別れる理由』『菅野満子の手紙』『寓話』以降の実験的な色彩を強めていった後期にいたる作家のキャリアを通じて何が変わり、何が変わらなかったのかを読み解き、作家の全体像を明らかにする。
【目次】
ルーツ あるいは前書き
第1部 小島信夫の戦後 あるいは昭和(唱和)から平成(平静)へ
第1章 公園で啼く あるいは「公園」を笑う――初期小説について(1)
第2章 「ルーツ」を「笑う」 あるいは「テクスト」が「笑う」――初期小説について(2)
第3章 「異界」としての吃音学院 あるいは「幻想」としての吃音――「吃音学院」(1953・昭和28)を読む
第4章 内面化と二重化――「アメリカン・スクール」(1954・昭和29)を読む
第5章 欲望する家族という悲喜劇――「馬」(1954・昭和29)を読む
第6章 「寓喩」の原エクリチュール――「島」(1956・昭和31)を読む
第7章 「家父長」 あるいは「恋愛」という困難――「裁判」(1956・昭和31)を読む
第2部 「家族」をめぐる物語
第8章 妻の死に至る「病」 あるいは「生き」続ける家族――「抱擁家族」(1965・昭和40)を読む
第9章 細分化してゆく力と統合してゆく力――「別れる理由」(1982・昭和57)を読む(1)
第10章 ガブリエルのホルンは小島信夫を呼び起こす――「別れる理由」(1982・昭和57)を読む(2)
第3部 テクスト化する小島信夫 あるいは小島信夫の「唱和」
第11章 「女流」とは誰か、何か――「女流」(1961・昭和36)を読む
第12章 「墓碑銘」とは誰の名前か――「墓碑銘」(1960・昭和35)を読む
第13章 「内部」と「外部」の溶解――「菅野満子の手紙」(1986・昭和61)を読む(1)
第14章 「菅野満子の手紙」は正しく「誤配」される――「菅野満子の手紙」(1986・昭和61)を読む(2)
第15章 再帰という寓話――「寓話」(1987・昭和62)を読む
第4部 「私」をめぐる物語
第16章 「ルーツ」のルーツをめぐる物語――「美濃」(1981・昭和56)を読む「前書」
第17章 自己規定する「前書」 あるいは辿り着かない「ルーツ」――「美濃」(1981・昭和56)の「前書」を読む
第18章 反転する「美濃」 あるいは逆照射される「前書」――「前書」から「美濃」(1981・昭和56)を読む
第5部 小島信夫の「平静」 あるいはテクスト化する家族
第19章 自らの言葉を「解釈」すること あるいは「他者」の希求――「静温な日々」(1987・昭和62)を読む
第20章 「記憶」を「小説」にする力――「うるわしき日々」(1997・平成9)を読む(1)
第21章 「記録」を「小説」にする力――「うるわしき日々」(1997・平成9)を読む(2)
第22章 「外部」を否定すること――「各務原・名古屋・国立」(2002・平成14)を読む
第23章 テクストは響き合う――「残光」(2006・平成18)を読む
結語 あるいは「あとがき」の代わりに
【著者について】
疋田雅昭(ひきたまさあき)
1970年、兵庫県に生まれる。立教大学大学院博士課程修了。東京学芸大学教授。専攻は日本近現代文学・文化。特に近現代詩や現代文学に強い関心を持つ。主な著書に、『接続する中也』(笠間書院、2007年)、『トランス・モダン・リテラチャー――「移動」と「自己」をめぐる芥川賞作家の現代小説分析』(ひつじ書房、2021年)などがある。