かつて楽園のあったところ
《フィクションのエル・ドラード》
カルロス・フランス(著)
寺尾隆吉(訳)
判型:四六判上製
頁数:284頁
定価:3000円+税
ISBN:978-4-8010-1010-9 C0397
装幀:宗利淳一
帰還する地もなく、約束された地もなく
《カルロス・フランスの偉大なる文学的才能にはただただ感服するしかない。》
(カルロス・フエンテス)
ペルー奥地、陸の孤島イキトスに降り立ったアンナは領事を務める父を訪ねる。赴任先に安息の地を見出し、古風な屋敷にインディオの美女を住まわせる父の様子に異変を嗅ぎつけた娘は、一夏のあいだ、この町の光と闇に目をこらす。町の秩序に腐心する知事、命を狙われた亡命者、裏社会の社交場、本国からのエージェント、均衡を取り繕う領事……野心と疑念と嫉妬が互いの愛を蝕み、不断の苦役に支えられた楽園に亀裂が走る。
【著者について】
カルロス・フランス(Carlos Franz)
959年、外交官であった父の赴任地ジュネーヴで生まれる。チリ大学にて法学を修めたのち弁護士資格を得るが、創作に打ち込むために作家業に専念する。処女作『サンティアゴ・セロ』(1988年、CICLA ラテンアメリカ賞)以降、発表する作品はいずれも高い評価を得ている。複数の大学で教壇に立ついっぽうで、2006年から5年間にわたって在スペイン・チリ大使館の文化担当官を務めた。ほかの作品には、『砂漠』(2005年)、『吸血鬼の昼食』(2007年)『僕の目で君自身を見ることができたなら』(2015年)などがある。
【訳者について】
寺尾隆吉
1971年、愛知県に生まれる。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。現在、早稲田大学社会科学総合学術院教授。専攻、現代ラテンアメリカ文学。主な著書には、『ラテンアメリカ文学入門』(中公新書、2016年)、『ガブリエル・ガルシア・マルケス――ラテン・アメリカ文学と魔術的リアリズムの結合』(水声社、2026年)、主な訳書には、カブリエル・ガルシア・マルケス『悪い時』(光文社古典新訳文庫、2024年)、レオナルド・パドゥーラ『風に舞う塵のように』(水声社、2025年)などがある。
【関連書】
フィクションのエル・ドラードシリーズ