作者の語彙
《記号学的実践叢書》
ロラン・バルト(著)
石井咲・進藤久乃・高橋暖・内藤真奈・中山慎太郎・福井有人・宮脇永吏(訳)
判型:A5判上製
頁数:384頁
定価:7000円+税
ISBN:978-4-8010-0491-7 C0098
装幀:中山銀士
テクストが、ラプソディックに織り上げられる
高等研究実習院の「記号・象徴・表象の社会学」講座において、1973―74年度に開かれた「作者の語彙」セミナーの全記録。大学の硬直した官僚制を逃れ、ソクラテス的対話と禅の静寂を思わせる、幸福な共同作業の空間で、のちに『ロラン・バルトによるロラン・バルト』(1975)として公刊される書物の複数の可能性を探究する。コレージュ・ド・フランスの一方向の講義とは対照的に、学生との親密な対話、即興、脱線、手書き草稿の暗示的筆致が息づく――セミナーという固有な形式が、多層な「パロールの空間」として、知の生成そのものの息吹をつたえる。
【目次】
まえがき エリック・マルティ
解題 アンヌ・エルシュベール・ピエロ
セミナー 1973-1974
セミナーに
1973年11月8日の講義
「私‐にとって」
変革
3つの空間
A. 制度的空間
B. 転移的空間
C. テクスト的空間
諸実践. 3つの修養
「アトリエ」
1973年11月15日の講義
[アトリエ,続き]
「セミナー」あるいはおそらく:〈書物〉(マラルメ)
「具体的〔有用〕労働」
テーマの選択
アトリエ. 提案するテーマのリスト
調査. 共有するための「能力」の目録
書物の紹介
1973年11月22日の講義
用語解説集の紹介
I. 索引に向けて
うぬぼれ
過ち
裂け目
利益
生産
墓の彼方
最初の二者択一とその失敗
1973年12月20日の講義
[前回のまとめ]
II. ディスクール‐辞書、あるいは一覧の批判的検討
4つの一覧
全体に関わる基本的な指摘
私のリスト
バルト氏のセミナー 索引(A、B、C)
ロラン・バルト コーパス
『用語解説集』 語彙の選択(A、B、Cのリストから)
用語解説集
1974年1月9日の講義
青年期Adolescence
箱Boîte
1974年1月10日の講義
Ad’dâd
バロックBaroque
映画Cinéma
1974年1月24日の講義
アダム的Adamique
アナムネーズAnamnèse
コーヒー=カフェCafé
1974年2月6日の講義
痩せることAmaigrissement
1974年2月7日の講義
巧みな表現 Bonheur d’expression
口ごもり/ざわめきBredouillement / Bruissement
契約Contrat
1974年2月13日の講義
生活術Art de vivre
1974年5月30日の講義
〈用語解説集〉:いくつかの最終的な考察
リクエストされた言葉
中国旅行の報告
1974年5月8日の講義
民衆の中国について
ロックアウトの錯覚
無(アン)‐意味形成性(シニフイアンス)、非(ノン)‐意味形成性(シニフイアンス)
政治的テクスト
『ロラン・バルトによるロラン・バルト』の未刊テクスト
「伝記」
『ロラン・バルトによるロラン・バルト』写真ノートの放棄されたキャプション
『ロラン・バルトによるロラン・バルト』の未刊断章
「梗概」
草稿とタイプ打ち原稿の再録
セミナーの補遺
〈伝記素的なもの〉についてのアトリエ
1974年1月3日と1月31日の講義
伝記素的なものの概念
調査(測深)
声についてのアトリエ
1974年1月3日の講義
声:収穫日誌(1973年12月)
1974年1月17日の講義
声:収穫日誌(1974年1月3-17日)
1974年1月30日の講義
(収穫)74年1月30日
1974年1月31日の講義
声を描写するとはどういうことか?
[収穫,順に意見を聞いていくこと]
1973年12月13日の講義
1974年1月3日の講義
1974年1月16日の講義
1974年1月31日の講義
1974年3月14日の講義
パンゼラについて
ロマン派のリートいくつか
1973-1974年度の授業ノート
1973-1974年度教育報告
原注
書誌
人名・作品名索引
事項索引
訳者あとがき
【著者について】
ロラン・バルト(Roland Barthes)
1915年、シェルブールに生まれる。1980年、パリにて没する。哲学者、記号学者、批評家。主な著作に、『零度のエクリチュール』(1953。みすず書房、2008年)、『モードの体系』(1967。みすず書房、1972年)、『S/Z』(1970。みすず書房、1973年)、『ロラン・バルトによるロラン・バルト』(1975。みすず書房、2018年)、『恋愛のディスクール・断章』(1977。みすず書房、2020年)、『明るい部屋――写真についての覚書』(1980。みすず書房、1985年)など多数ある。
【訳者について】
石井咲(いしいさき)
1993年、埼玉県に生まれる。現在、学習院大学文学部助教。専攻、フランス文学。主な論文に、「喪から「新たな生」へ──ロラン・バルトのテクストにみられるダンテの影響」(『フランス語フランス文学研究』第125号、2024年)、主な訳書に、『クローデル小喜劇集』(共訳、水声社、2019年)などがある。
進藤久乃(しんどうひさの)
1981年、東京都に生まれる。現在、國學院大學文学部准教授。専攻、シュルレアリスム。主な論文に、 « La Main à plume. Un groupe surréaliste sous l’Occupation »(Collectif, Circulations littéraires. Transferts et traductions dans l’Europe en guerre (1939-1945), Presses Universitaires François-Rabelais, 2021)、主な著書に、『戦後フランスの前衛たち――言葉とイメージの実験史』(編著、水声社、2023年)などがある。
高橋暖(たかはしはる)
1997年、埼玉県に生まれる。筑波大学大学院人文社会科学研究群博士課程単位取得退学。専攻、フランス文学。主な論文に、« Les Communautés sociales dans Portrait d’un inconnu et Madame Bovary »(Bulletins de linguistique et de littérature françaises de l’Université de Tsukuba, nº 39, 2024)、「ナタリー・サロートにおけるスノビスムについて」(『日本フランス語フランス文学会関東支部論集』第31号、2022年)などがある。
内藤真奈(ないとうまな)
1978年、愛知県に生まれる。現在、学習院大学文学部准教授。専攻、フランス文学。主な著書に、L’Univers d’intimité d’Hervé Guibert,(L’Harmattan,2015)、主な訳書に、ロラン・バルト『恋愛のディスクール セミナーと未刊テクスト』(共訳、水声社、2021年)などがある。
中山慎太郎(なかやましんたろう)
1978年、富山県に生まれる。現在、跡見学園女子大学文学部准教授。専攻、フランス近現代詩。主な著書に、『抒情の変容――フランス近現代詩の展望』(共著、幻戯書房、2024年)、主な訳書に、『バタイユ書簡集 1917―1962年』(共訳、水声社、2022年)などがある。
福井有人(ふくいありと)
1995年、宮城県に生まれる。現在、東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。専攻、フランス思想史、神秘主義。主な論文に、「二つの喪,二つの時間――ミシェル・ド・セルトー『神秘のものがたり』の歴史実践」(『思想』第1220号、岩波書店、2025年)、主な訳書に、ティフェーヌ・サモワイヨ『評伝ロラン・バルト』(共訳、水声社、2023年)などがある。
宮脇永吏(みやわきえり)
1980年、富山県に生まれる。現在、桃山学院大学国際教養学部専任講師。専攻、フランス文学。主な著書に、『ベケットのことば』(共著,日本サミュエル・ベケット研究会編、未知谷、2023年)、『サミュエル・ベケット!――これからの批評』(共著、水声社。2012年)、主な訳書に、『クローデル小喜劇集』(共訳、水声社、2019年)、ロラン・バルト『恋愛のディスクール セミナーと未刊テクスト』(共訳、水声社、2021年)などがある。
【関連書】
恋愛のディスクール――セミナーと未刊テクスト/ロラン・バルト/8000円+税
バルザックの『サラジーヌ』について――セミナーのための未刊のノート/ロラン・バルト/7000円+税
バルトの愚かさ/クロード・コスト/4000円+税
評伝ロラン・バルト/ティフェーヌ・サモワイヨ/9000円+税